大震災後も生き残るホテル経営

低成長時代のホテル生き残り作戦

3月11日の東日本大震災は、若干上向きであった日本経済に大きな打撃を与えました。
特に南関東の企業の実に8%近くが、電力不足懸念から関西圏への移転を検討しています。

また、政治は「災害対応が不完全」「原発事故対応が独善的」等として、
混迷の色を増し自民党や公明党を中心とした野党から菅直人首相に対しての
内閣不信任決議案が提出される異状な事態へと発展しました。

この環境下では、日本はもう暫らく低成長を続けていくのでしょう。
そこで、我々ホテル経営従事者が考えなければならない「生き残り策」について
下記に纏めてみました。

少し長いのですが、最後までお付き合いを戴き、共に生き残りましょう。

      -----目次------

第1章 今の環境をおさらいしましょう

    国とお客さんの状態(借金大国・少子化)
    変わるべき時に変わる勇気が未来を開く

第2章 今変わるべき事は?

    お金の掛け過ぎ(重装備)への反省
    横並び安心経営による消費者意識の不在の反省
    借りて作る常識からの脱却

第3章 求められる価値と今あるべき姿は
 
    世間との折り合い(偽装ラブホ問題)
    お客様の期待に応える姿勢(価値の新基準)

第4章 客様の目が選ぶ時代(選択と集中による淘汰) 

    9769軒(ラブファクトリー2007)吉野家の約8倍?
    何がしたい?(コアニーズ分析)
    これが大事!(必要条件の確保)
    あれば良いけど!(充分条件)
    何処に行く?(客観的選択基準)

第5章 何を残し、何を削るか?

    幾ら掛けて、幾ら儲けるか?(コスト/パホーマンス意識)
    本当に必要な経費だろうか?(オーバークオリティーの警鐘)
    何処で儲けるのか?(質と量の選択)

第6章 何が出来る施設か?
 
    いらない物を見つける力(何でも屋からの脱却)

第7章 何を訴える事ができるのか?

    感動は商品である(情動の商品化)

第8章 効率的運営を実現する

    何を売るのか?(空間?時間?雰囲気?)
    儲け続ける為には?(繰り返し販売の魅力)

第9章 お金の借り方

    借り続けない経営(自己資本比率の健全化推進法)

第10章 生き残る為に

    緊急対策の必要性(法令改正をにらんで)
    カンフル剤の効果!(ココが分水嶺)

第1章  今の環境をおさらいしましょう


政府は政権交代後初めてとなる2010年度予算案を昨年12月25日の閣議で決定しました。
一般会計(国の予算規模)の総額は、09年度の当初予算比4.2%増の92兆2992億円。
「子ども手当」の創設などマニフェストの施策を盛り込んだことで、
初めて90兆円を超え、新たな施策を実施するための財源を賄う新規国債の発行額は、
09年度当初予算と比べ11兆0090億円多い44兆3030億円になりました。

当初予算ベースでは戦後初めて国債発行額が税収を上回り、
国債の利払いや償還に使う国債費は20兆円6491億円にもなります。
歳入全体に占める国債の依存度は10.4ポイント上昇して48.0%、
2010年度末の国債残高は637兆円に達する見込みとなります。

正直言って、これほどの借金を抱えて財政出動などは困難と言わねばならず
不況による税収の落ち込みがこれ以上進むと、深刻な状況になる事は容易に想像できました。

そんな不安の中、3月11日に東日本大震災が発生しました。
東北各県の太平洋沿岸地方は津波による被害が甚大です。
加えて、福島原発は電源喪失をきっかけに暴走し、使い物にならないばかりか
高濃度の放射性汚染物質を周辺に撒き散らして、土壌ばかりか海洋の汚染まで引き起こしました。

関東地方にまで地震の影響は広がり、茨城や千葉県でも土壌液状化現象が発生し
上下水道や電力の供給施設に大きな問題を生じました。

菅尚人首相は、原発の危険性を重視して静岡県の浜丘原発に操業停止を要請し
日本全体の電力供給量が不足する事態となりました。

復興支援に必要とされる財源を確保するため、多くの公共事業は延期又は中止されるでしょう。
公務員の給与は、緊急的処置として下げられます。
高速道路は無料化どころか、1,000円均一さえ中止されます。

この状況では、我々の業界も今すぐ大きく舵を切り、
将来の経営基盤を強化しなければなりません。

現状は厳しい経済状況ですが、日本は今まで何回も危機を乗り越えてきました。
必ずや、経済が安定し成長するときがやってきます。

その時に集客力を欠いていると、取り残される可能性はあります。
言い換えれば、今を生き残れば安定経営に移行できる可能性は高いでしょう。

◆少子化  (人口統計)
 総務省が発表した2009年4月1日現在15歳未満の子どもの数は2008年より
 11万人少ない 1714万人で、28年連続の減少。

世界最低水準の状況が続いている。
 2008年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数の推計値)は
 1.37で、 このままでは、20年後は・・・・・14歳以下の人口は?
 数人の働き手が65歳以上の高齢者の生活を支える人口構成になると予想されるが、
 そんな事が可能であろうか?
 但し、あくまでこのままの状態のままであればという条件付であり、
 フランスなどは、 政府の抜本的な改革が功を奏し人口も出生率も上昇に転じている。 
 逆に韓国は、世界最高水準の出生率を誇っていたのは昔の話で、
 この20年で急速に転落し日本を下回る状態です。

 これまでの長年に亘る大統領経験者が軒並み汚職により逮捕され、
 自殺に追いやられており政府の無策が原因と言われています。
 この例を挙げるまでも無く、変われるチャンスをモノに出来るかどうかで
 将来の展望は大きく変わるのです。

第2章  今変わるべき事は


◆反省すべき事への理解を確認しましょう
 国の借金も、少子高齢化も、実は前から判って居た事です。
 税収より多くの財政出費があれば借金に頼るしかありません。
 婚姻年齢が上昇して、独身者も増えて、核家族化が進めば子供は減るに
 決まっています。

 そして両方とも、急に起こるわけではありません。
 何度も、何度も、改善するチャンスはあったのです。
 それが、何故出来なかったのでしょう?
 それは、事実を直視しなかったからです。
 今進んでいる道が何処につながっているのか?を直視して理解しましょう。
 それこそが、未来を決める作業であり、切り開く力となるのです。

お金の掛け過ぎ(重装備)への反省
 まず、イニシャルコストに対する反省が必要なようです。
 最初にかけるお金が多いと、取り戻して儲けるのは大変です。
 儲けるには、できるだけ少ない投資でビジネスをする事が大事です。
 確かに、ただ少なければ良いと言うわけではありません。
 地域市場や商業環境・目標顧客層などに応じた投資は必要でしょう。
 しかし、当たり前に言われている事にもすこし怪しいところもあります。

容積率の最大活用は正解か?
 せっかく買った土地ですから、容積率いっぱいに活用するというのもうなずけます。
 ただし、それは都市部の高価な土地に言える常識です。
 都市部を除く地域では建築にかかるコストより土地代金のほうが安いケースは、
 良くある事です。

 その場合は、市場の潜在能力(顧客数×利用頻度×可処分所得)を検討すべきでしょう。
 部屋数が多い事が総てに勝るとは限りません。

客室面積について
 この問題も悩ましいところです。
 但し、容積の最大許可面積は決まっていますから、客室数を多くすると
 自ずと客室面積は小さくなります。
 「客室面積が狭いと魅力が無い」とは申しませんが、必要な面積を欠く事は
 避けたいものです。
 それと、客室数が多くなるとドアやトイレ・ベッドなどの家具・テレビなどの
 家電・冷暖房の設備も多くなります。
 
 狭くしてしまって、基本的な魅了を欠くなら 数が多くても売上に貢献はしないので
 この部分も検討が必要です。

設備設置経費の問題
 何処もかしこも総てとは申しませんが、最近は随分と≪何でも屋≫みたいな
 ホテルを見かける事が多くなりました。
 
 特に具体的な建築例を挙げることは憚りますが、本職にはかないません。
 カラオケにしても曲数も音響もランクが違いますし、飲食にしてもやはり
 レストランのそれにはかないません。

 同様にホテルはパチンコ屋さんでも映画館でもありません。
 そんなモドキで集客できるのは、本物がまだ物珍しく
 社会に浸透してない時期だけです。
 一昔前ならいざ知らず何処でも普通に専門店が普及している現在では、
 それほどの集客力を発揮する事は無く、投資資金を回収する前に陳腐化してしまうのです。
 また、外部業者に設備の設置を依頼(委託)する場合も、自分が大金を掛けて作った
 営業施設の販売面積の価値を充分に考えて導入を判断しましょう。

横並び安心経営による消費者意識の不在の反省
 このビジネスは、同業者が集まる傾向にある事も特徴の一つでしょう。
 これには今話題の「営業許可」や「装置産業としての導入コスト」も関係しますが、
 何より「お客さまが居そうな場所」に集う傾向があります。

 本来であれば「ここには同業者が誰も居ないが、きっとここならお客様に来て頂ける
 場所である」と新規に市場開拓をするべきなのかもしれません。
 しかし、予想が当たれば良いですが、多額の資金を投入して、もしも予想が
 大はずれだったらと考えると中々踏み切れませんよね。

 ですから、やはり「ここなら同業者も居て、既にお客さまがたくさん利用して
 市場は形成されているので、自分も参加させてもらおう」と集うのでしょう。

 この事自体は、仕方が無いことですし、当然な判断でしょう。
 
 問題はこの後です。
 「市場が形成している」つまり「お客様が集って居る」のですから、
 後は来て頂くだけです。
 そこで台頭してくるのが「他所はどうやっているんだろう?」と
 「他所のお客様に、此方に来て頂く為にはどうしたら良いか?」です。

 まぁ、市場調査をしていけない事は有りませんし、他所のお客様に期待して
 出店して来たのですから当然です。

 ここで「よし、当店は他に無いユニークな設備とサービス方法を採用して、
 当地の市場の中に、独自の着想による新規の客層を見いだして集客しよう」
 と考える方は非常に希なのです。

 やっている方はいらっしゃいますし、やはりそれなりに成功をされています。
 但し、この方法は難しい事も事実です。

 ここで多くの場合採用される考え方は、次の2種類です。

  ①他店より目立たないといけないから、差別化を図ろう。
  ②近所と同じ様にして、値段も併せておいて、市場に混ざろう。

 ①は新規市場の開発を目指す"先ほどの考え方"に近いように見えますが、
 そうではありません。
 市場開発をするのではなく≪目立つ≫事が目的です。
 また、目的の趣旨は≪差別化≫です。

 不思議な事ですが、それまで独自市場の開発に成功していた事業者が、
 いつの間にか≪単なる奇抜な施設≫を作り始める事があります。
 この方法は、最悪のケースを招く事があります。
 例えば、近隣に市場をマッチした同業者が居ると・・・・マッチしない結果
 目立つ事ばかり考えると・・・景観条例違反や・・・色々と問題を起こしかねない

 ②の【近所と同じ様にして、値段も併せておいて、市場に混ざろう】も
 良くない結果をもたらします。
 特に酷いケースでは、外観も似せて改装したうえで、名前さえも
 まるで支店のように見せかける事業者も居ます。(岩槻にも有りますね)
 
 そして内容はというと、多くの場合は良くありません。
 似せる事ばかりに気が行ってしまい、基本的な事が出来ていないのです。
 最初はお客様も騙されて「あれ?こっちに新館が出来た!」と来てしまうのですが、  段々と「こっちはダメだね!本当に支店?」と気が付き始めます。

 そこまで酷くなくても、近所に合わせる事がコンセプト?なら集客は難しくなり
 「チョッと値段を下げようか」となります。

 これが連鎖すると、過当競争の始まりです。
 特に、素人集団が「ホテルなんて誰でも出来る」と考えて業界参入してくると
 こうなる結果になる事があります。

 これらの問題点の多くは同業者(事業主)の動向に目を奪われてしまい、
 本来は注目するべきお客様の視点〔観点〕を忘れてしまうことから起きるのです。
 同業者同士が切磋琢磨し合う事は、健全な商業競争なら問題を起こしませんが、
 同業同士の事業主の視点〔観点〕ばかりに偏ると問題を起こすという事です。

 お客様の視点=客観性とは、事実に基づく物事を分別する事ですが、
 事業主の視点=主観性とは、本人の精神的判断に基づいて何かを分別する事です。

 つまり「ご近所に目を光らせている時間が有れば、お客様に注目するべきである」
 ということを申しあげたいのです。

◆販売価格の設定基準
 今申し上げましたように≪販売価格の設定基準≫は、ご近隣同業者の提示している
 料金表を参考にすることばかりでは作れないはずです。
 本来の価格設定は、提供する商品内容を分析し、合算する事で求められるはずなのです。
 が、ここでも注意が必要です。

 設備に投下した資金をそのまま評価してはいけないのです。
 もしかしたら、既に流行が終わっているかもしれませんし、
 新型が発売されて陳腐化しているかもしれないからです。

 つまり、お客様に求められているのかどうかと言う事が基準となります。
 言い換えれば私なら「この設備に幾ら払えるか?」と考える視点が重要なのです。
 この場合も「あそこの同業者がこのくらいの設備だから同じくらいで」と考えてはいけません。

 もし比べたいのであれば、お好きなランチとか、コンサートのチケットとか
 ゴルフのプレイ費とか、できるだけ良くご存知の他のジャンルと比べてください。
 そこで決まった価格を近隣の同業者に比べてみて検証する事は構わないのですが、
 大きく違うようなら原因を探るべきでしょう。

◆販売方法の自己検証
 価格同様に重要な販売戦略ですが、やはり《近隣同業者の右に習え》では問題が在ります。
 ここでも重要なのは、お客様目線の客観的な判断です。

 事業主の都合ばかりを優先して販売方法を決めていくことは避けましょう。
 今までやっていたサービスタイムや現在流行しているフレックスタイム制も
 同様に考えて規定していくべきでしょう。
 昨今はご承知のように低成長時代ですから、お客様のご要望に沿った販売方法が
 必要になるでしょう。

 平田は、タイムシェアシステムを採用しています。

◆借りて作る常識からの脱却
 今までこの業界では【改装するときには金融機関から工事費を借りて施工する】のが
 常識として通用していました。
 ある程度は、それも仕方の無い事だったでしょう。
 しかし、せっかく非課税としてくれている減価償却費を散財し、改装費用は
 借入金に頼る事は不健全だと言わなければなりません。

 未だに一部のコンサルタント業者では「減価償却費はキャッシュフローとして
 算入出来ますから利回りは大変高くなります」と宣伝していますが本当に問題だと思います。

◆自己資本率こそが健全指数
 この業界では【売上高こそが評価額】のような風潮がありますし、
 収益還元法による評価も正しいと思います。
 しかし、企業としての健全性とか安定性の話とは少し違ってきます。

 この業界は借入金の残高が総資産に占める割合が、高いケースが目立ちます。
 それは日銭が入るビジネスモデルだからですが、それでも金融界の問題を無視する事は出来ません。

長く借りるより、早く返す経営
 今まで、借入金は出来るだけ長い期間を掛けて返すのが良いとされてきた風潮があります。
 でも、それでは返済が終わる頃には、また改装をしなければならない時期になってしまいます。
 確かに返済期間が長ければ、元金の月次返済額は少なくなりますから、手元の資金は多くなります。
 でも、金利は期間に応じて増額されます。
 手元に残った収益金も、先ほど申し上げた減価償却費と同様に、
 経営者の給与にしてしまっては、改装準備金になりません。

 このスタイルを続けている限り、健全な安定企業になる事は困難です。

第3章  求められる価値と今あるべき姿は


さて、以上の反省を踏まえて今後のあるべきホテルの姿を考えて行きましょう。
このあるべき姿は、きっと「そう有ったほうが良い」と言う考え方ではなく、
「そうでなくては、やっていけなくなる」「あらねばならぬ」に近いと思います。

           世間との折り合い(偽装ラブホ問題)

◆法律解釈の疑問
 今まで良かったのに、なんで急に悪いと言われるんだろう?
 今まで、何も問題が無かったのに、どうして取り締まるんだろう?
 今までどおりだと、どこに悪影響があると証明できるんだ?
 我々が悪いことでもしたというのか?

 確かにそうです。
 皆さんが仰りたい事は当然です。

 でも、いえる事は『確かに時代は変化している』と言う事実です。
 前は問題の無かった事も、今は問題視されるでしょうし、
 今問題視されていない事も、そのうちに問題になるでしょう。
 ココで大事なのは、また持つべきは「なぜだ?」ではなく
 「どうすればよい?」という疑問なのです。

世論刺激の理由
 コンプライアンス経営という言葉を耳にされた事があると思いますが、
 要は法令遵守の経営と言うことで、法律を守って行きましょうということです。

 しかし、このケースは少し違った側面を持っています。
 皆さんは、サラ金が「過払い」問題で揺れている事をご存知でしょう。
 今まで、貸す方と借りる方がお互いに納得して契約のうえで
 貸し借りを行なっていた金利が高すぎるとして禁止されました。

 「これからは、もっと低い金利で貸しなさい」という御触れが出たのですが、
 それだけではなく、「今まで払ってもらった金利との差額を返しなさい」と決まったのです。
 それまで、テレビなどで宣伝して監督官庁も指導すらしてこなかった部分について
 過去に遡って≪違法だったから、返しなさい≫となったのです。
 確かに、サラ金業者は儲けたでしょうが、それは認められた範囲で営業していたはずです。
 それが、一夜にして「今まで違法行為でした」となったのです。

 一部の業者は、香港に脱税目的で蓄財したり、ド派手な豪邸を建てたり、
 「腎臓売ってでも金返せ」と叫んだりして社会問題になりました。
 でも、法律というのはそれで左右されるべきではありませんし、
 本来はその違法な部分に対して改善するべきだと思います。

 その元凶が≪高い金利≫なら、今後は金利を下げると
 法律改正することも致し方ないかもしれません。
 でも遡ってまで、違法だったとするのはいかがなものでしょう。

 さて、我々の業界に似ていませんか?
 サラ金も昔は社会の片隅で目立たずにこっそりしっかり稼いでいたのです。
 我々の業界も、目立たずにやっていた時代はこっそりと、しっかりと稼いでいたのです・・・・・

 何処かの誰かは、ド派手な外観のホテルを禁止区域に建てようとしました。
 何処かの地方公務員が、女児に金をやって如何わしい事をしていたそうです
 また何処かの誰かは、宗教法人の名を借りて営業していました。
 また、まるっきり売春宿そのもののようなホテルもあったようです
 それは違法です。
 だからそれを取り締まって頂くのは理解できます。

 しかし、彼らは世論を刺激しすぎましたね。
 そのうえ、政権も交代して政府は庶民の人気取りに躍起です。
 はっきり言って、この先も規制は厳しくなるでしょう。
 そして、今までのような≪法律の抜け道探し≫は逆効果となるでしょう。
 世論を刺激しないようにして、世の中に認めてもらわないと魔女狩りにあいます。

改善策はあるのか?
 世に中に溶け込む事しかないでしょう。
 幸いな事に「需要」はあります。
 少子化で多少はしぼむかもしれませんが「需要」は確実に存在します。
 しかし「需要」の形態は時代によって変化する事は間違いないでしょう。
 我々がなすべき≪生き残り策≫は【需要の形態変化を捉えながら、社会に溶け込む】事です。

お客様の期待に応える姿勢(価値の新基準)
 本当に求められる価値とは
 良く言われることですが「多様なニーズに対応する」のも一つの解決策でも有るでしょう。
 しかし、それは時代の背景を考慮する必要が有ります。
 「何かが無いから困っている」=「提供されていない」→「提供する」
 例:歌いたいが歌えない=歌う場所が無い→カラオケ店を開業する
 ニーズとは「無いに起因する困りごと」なのです。

 ビジネスモデルを新構築するには社会のお困りごとを解決するのが良いのは事実ですが、
 我々は「社会のお困りごと」を解決する事を忘れていませんか?
 その前に、現在の社会で「無いに起因するお困りごと」はそれほどありますか?
 ちなみに、アル物を探す事は「ウォンツ」で欲求です。
 カラオケも、飲食も、ゲームも、映画も何処にもある時代です。
 更に、ホテルのカラオケ設備ではカラオケ店のソレにはかないません。
 飲食もファミレスにはかないません。
 ゲームセンターにもシネマコンプレックスにもかないません。
 つまり他所にも「アルもの」の提供力ではホテルは勝てないのです。

提供すべきサービス内容
 ですから、ホテルが提供すべきは【他所には無いもの】となるはずです。
 ここで言う【他所】とは他のホテルではありません。
 先ほども申しましたが、他のホテルよりお客様を見る(主観より客観)事が大事です。
 では、ホテルにしかない提供するものとは、
 言い換えればホテルでしか提供できないものとは何でしょう?
 ここが生き残りに不可欠な要素でしょう。

第4章  お客様の目が選ぶ時代〔選択と集中による淘汰〕


 何より大切なのは「お客様」であり、お客様目線で物を考える事です。
 旅館業法にも「利用を申し込む何人も、正当な理由無く拒否できない」(第5条)
 とありますが、まさしくお客様がホテルを選ぶのですから、
 選ばれる為には当然お客さんの考え方を知らなければなりません。

◆乱立が招いた過当競争
 ラブホが9769軒(ラブファクトリー2007)吉野家の約8倍?
 世界のマクドナルドより多い?って本当?
 まことしやかに、この数字が見え隠れしています。

 この数字が真実であるかは兎も角として、少し多い気もします。
 確かな事はいえませんが、淘汰されていく方向にあるように思えます。
 ですから「生き残る策」が必要なのです。
 まさに"サバイバル時代"の到来です。

何がしたい?(コアニーズ分析)求めに応じてこそのビジネス
 お客様は何がしたくて、来店されるのでしょうか?
 きっと「そりゃ!Hだよ」と声が揃いますね。
 決して、歌いに来ているのでも、食事に来ているのでも、ゲームしに来ているのでも、
 映画を見に来ているのでも、ありませんよね。

 但し、アンケートなどを見ますと、そればかりでもないと書いてあります。
 本当でしょうか?
 『二人っきりの時間が過ごしたい』
 『ゆっくりと、リゾート気分に浸りたい』
 『映画見て、カラオケやって、お酒飲んで、×××が一緒に出来る』
 とか、書いてありますよね。
 でも、本当でしょうか?ココは、考え物です。

 アメリカにラスベガスと言うところがあります。
 昔はギャンブルの町として有名でしたが、最近はショッピングモールや
 遊園地、世界的アクロバットショーでも名前が挙がりますし、
 LEDによる世界最大のアーケードショーもあります。
 世界中から、これを目当てに観光客が押し寄せているとも報道されますが・・・
 本当でしょうか?

 実は、彼ら観光客の目当ては今でもギャンブルです。
 上記の理由は単なる、言い訳であり、照れ隠しで「ショーを見に来ている」とか言いますが、
 やっぱり根底には≪ギャンブル好きの町≫なのです。

◆これが大事!(必要条件の確保) ベーシックサービスの理解
 ホテルに求められる物で、一番大事なのは・・・・・立地です
 とりあえず、何処にあるのかが大事です。
 とは言え、既存店が場所を変えるわけには行きません。

 必要なのは、自らがどんな立地にあるのかを理解することです。
 その立地にマッチした営業方法を取ることこそが、生き残りに一番必要な事なのです。

あれば良いけど!(充分条件) 本当に必要か?と再検証
 何でもあればお客様が来る?って考え方を止めましょう。
 あれもこれもと詰め込んでも、本来有るべき魅力が無いとお客様の支持は受けられません。

 貴方のやっている事で、効果に対する確証の無い事があるはずです。
 それよりも、お客様が必要としている事は何なのかと考えて見ましょう。
 貴方のホテルでしか出来ないサービスがきっとあるはずです。

何処に行く?(客観的選択基準) 欲しいものを欲しいときに欲しいだけの時代が来た!
 お客様たちの本心は「安くたって、タダだって要らない物は要らない」なんですよ。
 貴方は、不味いラーメンが大盛りになったら喜びますか?
 面白くないゲームがタダでやれるようになったら、やりますか?

 少しくらい高くたって、遠くだって美味しいラーメン屋さんには並びます。
 どんなに素晴らしくたって、速くたって、少しくらい安くなっても、高級車なんて要らないって人が増えてます
 本当に欲しい物を欲しがる人は、言い換えれば安くたって欲しくない物は買わない人なのです。

第5章  何を残し、何を削るか?


◆幾ら掛けて、幾ら儲けるか?(コスト/パホーマンス意識) どんぶり勘定はダメ!
 最近はようやくラブホテル業界にも、効率経営なんて声が聞えてきましたが、
 その実態は相当に妖しい物です。
 その証拠に販売原価を正確に把握している経営者はほんの僅かですし、
 本来教える立場のコンサルタントさえわかってない人たちばかりです。

 これからは、本当にコストと利益の関係がわからないとラブホテルは
 やっていけなくなる時代になったのです。
 だからインチキファンドは崩壊するのです。

本当に必要な経費だろうか?(オーバークオリティーの警鐘) 
 リストラの本当の意味をご存知ですか?
 リストラは、首切りではありません。
 もちろん、値下げではありません。
 まして、サービスの切捨てではありません。
 リストラチャリングとは事業の再構築の事です。

 それは、無駄のカットと戦力の集中を意味します。
 簡単に言えば、要らない部分を切って大事な部分につぎ込むことです。
 だから、経費は下がりません。
 でも売上が上がるのです。
 それがリストラです。

何処で儲けるのか?(質と量の選択) 空いている部屋が原資となる!
 商売は≪売り物≫が無いと始まりません。
 売上が欲しいのなら≪売り物≫を探すことです。
 何も無いなら作ることです。

 ≪高級感≫も立派な≪売り物≫です。
 人気の無い空室だって売り方次第で≪売り物≫に化けます。
 最近流行の〔ワケあり○○〕もそのひとつです。
 売れてないものを売るのが、原資を有効に使うことです。

第6章  何が出来る施設か?


◆いらない物を見つける力(何でも屋からの脱却)
 ホテルと言う設備は、何もしなければ黙って建っていますが、
 ホテル業はこの設備を効率よくコキ使う事が商売です。

 最近は駅の通路さえ、場所貸し商売(不動産賃貸)に活用されています。
 今までは、ただ人が歩いていた通路が毎月家賃を稼ぐようになるんです。
 何処かに、活用して無いいらないものは有りませんか?
 それを利用して稼ぎましょう。

第7章  何を訴える事ができるのか?


◆感動は商品である(情動の商品化)
 マクドナルドに行くと「スマイル0円」と有りますのを見た事がある人も居るでしょう。
 この場合は0円ですが、形の無いものや目に見えないもので
 料金がいただける事を忘れていませんか?
 酒屋の5倍10倍で飲ませる飲み屋があるじゃないですか?

 アレですよ。

 ≪楽しさ≫は≪商品≫だから≪料金≫が付くんです。
 ≪感動≫は、高価格商品ですよ。

第8章  効率的運営を実現する


◆何を売るのか?(空間?時間?雰囲気?) お客様は「何故買って下さるのか」という視点
 ホテル経営者に聞きます。
 貴方は何を売っているのですか?

 コストのかかる物を売っていては儲かりにくいですよ。
 なぜなら、売れば売るほどコストがかかるからです。
 売っても減らず、仕入れてもタダ、そんな物を売ると儲かります。

 よくサービスを売るつもりで、プレゼントばかりしているホテルを見かけますが
 オマケ付きのホテルなんて・・・・笑ってしまっては失礼ですが
 それでは経営とはいえませんし、儲かるはずがありません。
 「当店はダメホテルですから、オマケを差し上げますので我慢して使ってください
 って言っている様な物です。

 クーポンをやたらに出して値引きするホテルや近所の駐車場並の価格で営業する
 ホテルもありますが・・・・何を売っているのかわかりませんよね。

 商売は・・・以下に高く売るか。以下に高く買ってもらえるかの勝負です。
 その為には、売り物を磨く必要があります。 

◆儲け続ける為には?(繰り返し販売の魅力) モノから心へ、短期間での慣れと飽き

 ホテルって学校と似てませんか?
 学校自体も先生も去年と同じなのに、生徒が変わって利益が出ます。
 ホテルも去年と同じで、従業員も変わらなくてもお客様が変わるから利益が出ます。
 新入生は最初こそ、おどおどと大人しいですがすぐに為れて、走り回り始めますよね。

 お客様も、慣れが出てきます。
 慣れだけなら良いのですが、飽きても来ます。
 高校生と同じですね。
 高校生になると、遊びも覚えて学校をサボる連中も出てきます。
 そんな彼らを、毎日学校に来るようにするのが学校経営です。
 ホテルも、同じでしょ。

第9章  お金の借り方

◆借り続けない経営(自己資本比率の健全化推進法)
 借金は無くして行くのが健全です。
 普通のことで、今更言う事でもないようですが、出来ていますか?
 借りる以外にも「貰う」事で資金調達するのが投資を受けると言います。
 「株を売る方法もあります」って言うと、まさかと言われますがやり方は有ります。

短期間償却の薦め
 「借りているほうが、税金が安い」なんて時代錯誤も甚だしい間違いです。
 長く借りれば税金より金利で資産が細るだけです。
 一刻も早く返す事を考えましょう。
 少しだけでも早く返せば・・・意外なコストダウンができますよ。

自己資本への繰り入れ
 ホテル経営者の中には、自分で自分の会社にお金を貸している方も多いですよね。
 だったら、自己資本に繰り入れて短期借入金を解消しましょう。
 その方が、資本金が増えて立派な会社に見えますよ。
 そして、その事は意外に役立つことがあるんですよ。
 計理士と相談してみたいかがですか?

第10章 生き残る為に

◆緊急対策の必要性(法令改正をにらんで)
 おかしな仕分けに負けるわけに行かないのです。
 滅茶苦茶なデタラメ業者のとばっちりで、潰れるわけにはいかないのです。
 うどん屋とホテル業は根本的に違うのです。

 我々ホテル業には、幸いにも需要があるのが救いです。
 風俗営業でも何でも良いから生き残りましょう。
 これだけ締め付けられれば、新規の同業者が増える事は有りません。
 言い換えれば、既存営業権が芽生える時が来たのです。
 需要があるのですから、必ず利益は生まれます。

 今、売っては損ですよ。
 石にかじりついても、頑張りましょう。

◆カンフル剤の効果!(ココが分水嶺) 景気回復と市場淘汰がもたらす未来
 円高もあるでしょう。
 経済危機もあるでしょう。
 エネルギー危機もあるかもしれません。
 大震災もありましたし津波もきました。
 原発事故で放射能汚染も心配ですし、電力も不足しています。

 でも、今までだって同じように何回も危機はありました。
 狂牛病騒ぎはありましたが、焼肉屋は残りました。

 需要があれば大丈夫です。
 まして、今がどん底だから、これからは良くなるしかないのです。
 一発のカンフルを上手に打って、生き残りましょう。




そのためには


超ローコスト※で行う改装が有効です。


余計な事をしない勇気が必要です。


大事な事を見極める目が必要です。


タイミングを計る感覚も必要です。


何より健全な運営方針が必要です。

  

※超ローコストとは、普通のローコストではありません!


何せ≪超≫ですからネ





一緒に、頑張りましょう。


必ず有効な手はあるはずです。


諦めずに、ご相談下さい。


平田が、お役に立ちます。
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