選択肢は多い方がよい?選択するのも手間ですよ。

選択肢を選択する必要?

選択肢と選択は混同しがちですが、この二つは分けて考えてください。
つまり、選択肢は名詞ですが、選択は動詞であり判断という作業です。

さて、選択肢は多いほうが良いでしょうか?それとも少ないほうがいいのでしょうか?
コレは、レストランや居酒屋のメニューや洋服や靴を買うときも同じです。
たくさんのお献立や色や形があったほうがいいですか?普通は、そう考えます。
しかし、「ある一定の量を超える選択肢を用意すると、人は選べなくなってしまう」って事をご存知ですか?
色だけが違って値段が同じなら、選びやすいかも知れませんが、色や形や性能までが違う上に値段も違うとしたら、どうですか?
そうなると、どれを選ぶべきかを判断する要素(判断材料)が多すぎて人間の処理能力を超えてしまい、人は「なんだか面倒だ」と感じ、この感情は、苦痛に分類されるのです。
選ぶ楽しみが高じてしまうと、苦痛に変わるということです。
まして、判断するのに使える時間が〝ほんのわずか"だとしたら、きっとイライラしてしまうでしょう。
そんなお店には、お客様は行きたがりません。

そこで、多すぎる選択肢を判断可能な数にまで絞り込むことが必要となります。
この作業を選択と呼び、お店がしておくべきことなのです。
そして絞られた選択肢の中から、最終的にひとつを選ぶのはお客様なのです。

ラブホテルの場合には、どんなケースが考えられるでしょう。

一番多いのが、料金体系の複雑さによる問題です。
例えば、客室の広さや設備の差のよって価格ランクを5種類にしたとします。
また、曜日によって、平日、金曜、土曜、日曜、休日の料金や利用時間を変えたとします。
また、休憩にもサービスタイムランクが3種類あり、宿泊にも深夜入室などもあると仮定しますと、5ランク×5種類の曜日×(休憩3種+宿泊2種)=5×5×5=125種類の
料金が存在することになります。
この条件以外にも、延長料金もお部屋の料金ランクによって違うでしょうし、深夜チェックイン特典とかご予約料金などがあるといっそう複雑なりますよね。
コレを看板やホームページで判りやすく表現するのは難しいですし、お客様が理解するのは、はなはだ困難だと言えるでしょう。

このような場合は、お客様を遠ざける効果を生んでしまうので避けたほうが良いでしょう。
だから、ホテル側は料金設定をできうる限り単純化することが求められるのです。

私が担当しているクライアント様の場合も、5段階あった料金ランクを3段階にして、曜日や休日の区別をなくしました。
つまり、平日でも土曜日でも料金は変わらないのです。
また、すべての時間帯についてサービスタイムを廃止して、終日休憩を受けることにすると同時に、宿泊をも廃止しました。
つまり、24時間いつでも休憩でも宿泊でも好きなように使うことができるのです。
このような改革をしましたところ、細部の修繕はしたものの、改装もしないのに、売り上げが60%以上も上昇し、今もその上昇傾向は収まっていません。

また、別のクライアント様のホテルでは、多くの無料サービスも行われていました。
ただし、何もかもいくらでも無料というわけではありません。
いくつかの無料サービスメニューから、御一つを選んで頂くシステムでした。
コレでは、「只だ!」と喜んだお客様をがっかりされるばかりか、選ぶ面倒くささまで与えてしまいます。
それに、提供する側にも「所詮は只だから」という気持ちが働くのでしょう。
無料サービスのフードもドリンクも、貧弱な内容でした。
せっかく選んだのに、来てみたら「なーんだ。こんなのか~」と思われては、無料でサービスした意味がありません。
前にもお話ししましたが、無料サービスにかかる経費を思いのほか大きいのです。
企画・什器購入・発表・注文・検品・保管・調理・配膳・回収・洗浄・保管とその手間は膨大です。※詳しくは、前のブログをご覧下さい。

そこで私は、すべての無料メニューを廃止して、確かな内容の有料メニューに切り替えました。
もちろん、充分に選択肢は絞りました。
クライアント様には、「無料サービスをやめたら、人気が落ちるのでは?」といった不安をお持ちでしたが、結果は大成功でした。
無料サービスをしていたころと同じ位のご注文が有るばかりか、ご来店数が増えてくるのです。
メニュー献立数が減り、無料だったものが有料化されたのに、お客様は増えて収入も増えてくるのです。
実はこの切り替えをする前には、せっかくお届けした料理が殆ど食べられていないこともあったのです。
つまり、期待のお答えできなかったのですね。
有料化の後は、もちろんそんな事は無くなりました。
そのうえ、無料サービスのための仕入れが無くなり、結果として経費も大きく下がりました。

経費を下げて、増収できたので経営の大きなプラスとなりました。
このケースでは20室に待たない規模にもかかわらず、その増収分は、休憩100組分にもなりました。

どうです、選択肢を絞り無駄の無いラインナップを作ることは、ホテル経営には欠かせないのですよ。
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