事業承継のやり方が全く分らず相談相手も居ないと嘆くラブホテルの社長からのご相談

こんにちは！
ラブホテル・レジャーホテル経営の専門コンサルタント（株）スパイラルの平田です。
今日は、ラブホテルでは良く起きる「事業承継」についてお話します。
当然起こる「相続」もやり方を誤ると問題が起きるので要注意なのです。
では、始まり、始まり～

とある、日本屈指の観光地の中心部に位置するラブホテルの社長様から、
「そろそろ、息子に後を継がせたいが手順も分からない」
との相談です。

社長のお宅に伺って、社長からお話を伺うと、「自分も後期高齢者の仲間入りをする年になり、そろそろ息子に社長を譲ろうとは思うのだけど、土地建物やら自社株やらあるし、何から手を付けたらいいのか分からないし、こうゆう事は誰に相談したら良いのか、よく解らないし、どうしたらいい？」とのご相談でした。

「誰に相談したらよいか？」という相談
をされた訳ですが、まぁそんな事も有ります。
端的に言えば、全国の都道府県には、中小企業庁の《事業承継支援センター》が有るので、ネットで調べて、そこに行けば教えてくれるのですが、同所に行く前に幾つかの選択肢を確認しておくと、相談もスムーズになるので、こちらのケースを例にして、少し説明しておきましょう。

① 誰に事業を継承するか？
これには、3種類が有ります。
　・親族の誰かに引き継がせる。（今回は、息子さんに引き継がせる予定）
　・社内の誰かに引き継がせる。（その人で、社内外も納得する事が必要）
　・赤の他人に引き継がせる。　（Ｍ＆Ａ専門会社で、後継者を探させる）

②　継承予定者は、継承する事を納得しているのかの確認。
　　社長のお話では、これまで20年以上も取締役として事業に従事していて、
　　跡取りの自覚はあるそうですから、これもOK。
　　また御兄弟もいらっしゃらないので、争う様な問題も無し。

③　継承予定者に、経営能力があるのかの確認。
　　すでに専務取締役として10年以上の経営実績が有ると言うので、これもOK。

④　この人を継承者とした場合に、社内外で承認されるのかを確認。
　　現在も社員を束ね、出入り業者とも円滑な関係を築いているので、これもOK。

⑤　経営資財の権利関係の確認
　　このラブホテルの土地も建物も、全て会社資産なので、これも問題なし。

⑥　株式の権利確認
　　以前より専務に社長株を分割して、相当量を売却済なので、こちらもOk。

⑦　社長を交代する株主総会は開いたのか？
　　これから、開くところだそうですが、開いたら議事録を作成しておきましょう。

⑧　社名は変更するのか？
　　これから、考えるそうです。
　　人の名前を付けるのは、次の事業継承時も変更する必要が有り、
　　事業の継続性に支障をきたす恐れがあるので避けておきましょう。

⑨　社長交代や社名変更に際しての連絡先のリストを作りましょう。

⑩　連絡担当者を決め、社長の委任状を持たせましょう。

⑪　会社登記を致しましょう。
　　
これで、会社の引継ぎは、だいたい終わりですから、後は社外の関係者に「社長交代のお知らせ」を出したら、新社長の誕生です。

これだと、《事業承継支援センター》に行く必要は無いかもしれませんね。
でも、他に事業承継に関する支援金や助成金があるかもしれませんから、その辺は《事業承継支援センター》に聞いておくのが良いでしょう。

また、作業を委任する適当な人が居ない時は、短期的に弁護士などを雇うのも良いかもしれませんね。

後継候補者が複数人居る場合や、株主が多数いる場合の事業承継は、難しそうですが、準備をしておけば、それなりに進むものですから、可能であれば、予め事業承継計画書を作成しておくのも良いでしょう。

こちらの社長様は、この話をお聞きになった後、すぐに形ばかりの株主総会を開き、議事録もネットから雛型をダウンロードして作成し、アッと言う間に社名を変えて新社長（ご長男）名で挨拶状を郵送され、おかげで
「長年の気になっていたことが簡単に可決したよ。」
と、顧問に就任されて、非常に喜ばれておりました。

金融機関も、高齢の社長から、壮年期の新社長に経営権が承継した事を高く評価してくれたようで、その後の融資話もスムーズに進んだそうです。
現在弊社は、新社長になられたご長男の経営に関するご相談を承っています。