在庫管理が出来ずに税務署から指摘された経営者からのご相談

こんにちは!
ラブホテル・レジャーホテル経営の専門コンサルタント(株)スパイラルの平田です。

今日は、ラブホテルでは良く起きる「在庫の行方不明」についてお話します。
単純に見える「棚卸」もやり方を誤ると問題が起きるので要注意なのです。
では、始まり、始まり~

とある、都心環状線の駅近くに位置するラブホテルのオーナーから、
「税務署に在庫の件で指摘されたが、
  どうして良いのか分からない。」

との相談です。

店舗に伺って、社長からお話を伺うと「実は、先日税務署の調査が入りまして、だいたいの事は問題なく進んだのですが、商品在庫の事が引っ掛かりまして、何でも『飲料を中心として販売商品の在庫数が全然合わない。どこかに横流ししているのか又は自家消費を混入しているのではないですか?この部分をはっきりとして貰わないと、追徴課税の対象となりますよ。』って言われたのですが、心当たりが無くて困っています」との事です。

平田は、ピンと来ました。何故ならこのケースは今までも経験しているからです。
そこで念のため、「その合わない在庫って何ですか?」と聞きましたところ「細かい数は分かりませんが、缶ビールが年に5百本以上で、他にも色々と500本位です。」とのお答えでした。

このケースは多分、従業員による【持ち帰り】です。
行方不明の数量規模から考えて、犯人は1人ではなく2~3.4人でしょうね。
それも、前から務めているベテランさんだと思います。

手口は簡単明瞭です。
毎日1本ずつ、補充在庫から他の従業員などの目を盗んで持ち帰るだけです。
これは、前に在庫を持ち帰っていた犯人を問い詰めた時に聞いたのですが、「持ち帰ったビールはどうしても生温くなるから、帰ってから飲まずに冷蔵庫にしまい、前日に盗んで来て冷蔵庫に入れてある冷えた缶ビールを飲む。」のだそうです。

この被害に遭ったラブホテルは、駅に近い事も有って車での来店よりウォークインの方が多く、ビールの販売量もそれなりに多いので、1日に2本や3本の過不足は目立たないのです。
でも、棚卸すれば在庫が足らない事は一目瞭然に分かってしまいますよね。

ところが、社長に聞くと
「あー、棚卸ねぇ、分かっているんだけどねぇ面倒でさぁ。」
との事で、決算の時も適当に数字合わせをしていたようです。

さて、このケースでは恐らく、2~3.4人のスタッフが、毎日の様に缶ビールなどを持ち帰っていたのでしょう。
毎日2本としても年間では365日×2本で730本になりますが、それぞれに公休日もあるので500本程度の被害なのでしょう。

この社内盗難を防ぐには、『棚卸の強化』が有効です。
「棚卸」が面倒になる原因は、平田の経験から考えると・・・
①調査範囲が広すぎる。
②調査間隔が長すぎる。
③調査方法が厳格すぎる

この3つでしょう。

①の調査範囲が広すぎる。
何でもかんでも棚卸しようとしないで、本当に狂いやすいとか単価が高いとか、在庫の把握が必要だと思われる品目だけを棚卸するようにすると言う事です。

②の調査間隔が長すぎる。
前回の棚卸から次回の棚卸迄の期間が長すぎると言う事で、長ければ長いほど仕入れの記録も多く、その為正確性を損なうばかりか作業が煩雑で面倒になります。なので、棚卸期間は1カ月程度に短縮して随時在庫の適正数を確認しましょう。

③の調査方法が厳格すぎる。
在庫数を数える時に全ての個数を数えるのではなく、ケース単位や袋単位など、大きくまとめて数える事を指します。
例えば缶ビールの場合、本数ではなくケース単位で数え、5.2ケース等として記録します。
これは意外に重要です。
何故なら、棚卸に時間(期間)を必要とする場合、棚卸作業の期間中に在庫数が変ってしまう可能性が高いからです。
その誤差を減らすには、敏速な棚卸し作業が必要となりますので、この様な計測方法が有効となるのです。

これらの事を社長にお伝えし、ただし、決して今から
「誰か知らんが、在庫の缶ビールを盗んでいる奴が居るから、今から調べて窃盗犯として警察に訴えてやる!」
等とは言わずに!

「税務署から『在庫が有ってない!』って叱られてさぁ。」
『これから毎月棚卸しろ』って言われっちゃったぁ。」
「面倒だけど、みんなも協力してくよ。』
の方向で進める様に指示をしました。

どうせ叱った所で「私がやりました、すみませんでした。警察は勘弁してください。」とはならず、急に休み始めて(休んで居る間に他のラブホテルに面接に行く)、櫛の歯が抜ける様に辞めていくのがオチです。
もちろん誰も弁償などしないでしょう。

他のラブホテルでは、異常な量のトイレットペーパーが無くなっていましたし、マジックリンなどが大量に無くなっていた事も有りましたが、これらもスタッフによる持ち帰りでした。
あるラブホテルでは、マヨネーズケチャップ、チューブのカラシやワサビなどの消費が激しすぎるので、在庫場や冷蔵庫に
「持ち帰りは犯罪!」「防犯カメラ監視中」
と張り紙をしたところ、紛失は止まりました。

このホテルでは、その後に在庫数が合わなくなることも無く、複数のスタッフが急に辞める事も無く済みましたし、この事を税務署に説明して追徴課税されず、修正申告するだけで済みました。
その後、このラブホテルでは再発防止策として、飲料に限っては毎週棚卸するようにもなったそうです。

株式会社スパイラル 平田 壯吉 代表取締役

平田 壯吉

スパイラルは、運営請負や人員派遣を行わず、ラブホテル経営相談一筋に、多数の繁盛ホテルを誕生させて参りました。
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