雇っている労務士が役に立たないと嘆いているラブホテルのオーナー様からのご相談

こんにちは!
ラブホテル・レジャーホテル経営の専門コンサルタント(株)スパイラルの平田です。
今日は、ラブホテルでは良く聞く「労務士」についてお話します。
同じように見える「労務士と社労士」も使い方を誤ると問題が起きるので要注意なのです。
では、始まり、始まり~

とあるラブホテル業界の会合で出会った
「雇っている労務士が役に立たない。」
と嘆いているオーナー様からのご相談です。

会合で共通の知り合い(業者)が居た事から紹介されたのですが、その日は時間も相談に適した場所も無かったので、後日改めてお話しできる場所をセットして頂いて相談を受ける事になりました。

まだ若い二代目オーナーの彼が言うのには「自分は後を継ぐ前には会社員でしたので、労務関係の事は不慣れだったので、ホテル組合の先輩から紹介して頂いた労務士の先生と月次契約をしているのですが、募集や雇用に関する色々な書式を依頼しても、就労規則や雇用契約書を依頼しても、なかなか動いてくれず、やっと出来上がって来てもネットからダウンロードした様なもので、自社のスタイルに合わないような気がして困ってしまった。」そうです。

皆さんは労務問題でコレと似たような経験は有りませんか?
平田は、たまに同じような相談を受けます。
そして、その原因は、殆どの場合が同じなのです。
だから、今回もそうではないかとアタリを付けて、彼に質問してみる事にしました。

「ちょっと質問なんですが、その先生は《労務士》さんなのですか?それとも《社労士》さんなのですか?」
彼は、一瞬困ったような顔をしてから「うーんと・・・《労務士》さんだと思いますが、《社労士》さんとは、ちがうんですか?」と答えてくれました。

あー、やっぱり。

またまた、原因は同じでした。
彼は、《労務士》と《社労士》を似た様な物とか、或いは同じ資格等と勘違いしているのです。
この二つの資格は、似て非なるもので実は全然違う資格なのです。
全然違う資格ですから、する(出来る)仕事の範囲も違います。
ここを混同してしまうと、せっかく雇っても役に立たないなんて事が起きてしまうのです。

まず、彼らの正式な名称から理解しましょう。
労務士とは、「労務管理」の事を略していますし、社労士とは「会保険」を略して言ったものです。

この二つの、一見して似て見える資格の一番の違いは・・・・
労務管理士は民間団体が運営する民間資格であり、社会保険労務士は国家資格であると言う事です。

また、社労士になるには、社会保険労務士試験に合格した後に、全国社会保険労務士会連合会名簿に登録し、都道府県社会保険労務士会に入会しなければなりません。
※連合会名簿に登録するには、「実務経験が2年以上あること(合格前の勤務も期間も含める)」、もしくは「事務指定講習の修了」が必要です。

社労士の主な業務内容は、次の3つに分類されます。

第一号業務
健康保険や労災保険、雇用保険などの加入・脱退手続きに関する書類作成・提出代行業務

第二号業務
就業規則や労働者名簿、賃金台帳といった、労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成

第三号業務
企業内教育、人材配置、資金調達などの人事労務管理のコンサルティング

これら3つの業務の中でも、とくに第一号と第二号が社労士の主な業務になります。
この2つは社労士のみに許された独占業務であり、新規に従業員を雇用した際や退職した際は、必ず第一号と第二号の業務が必要となります。

と言う事は・・・一般社団法人日本人材育成協会と、一般社団法人日本経営管理協会が運営する民間資格である労務管理士が、国家資格である社労士の独占業務である第一号・第二号業務を行うと社会保険労務士法の違反となり、罰則が科せられるのです。

ちなみに、社会保険労務士の種類には、社会保険労務士名簿への「登録の区分」によって次の4種類があります。

1.開業社会保険労務士(個人開業者)
届出を行った所在地に事務所を有する社会保険労務士で、他人の求めに応じて報酬を得て社会保険労務士の事務を行います。
2.社会保険労務士法人の社員である(個人事務所を設けてはならない)社会保険労務士です。他人の求めに応じて報酬を得て社会保険労務士の事務を行います。
※ 社会保険労務士法人は、社会保険労務士の業務を行うことを目的として社会保険労務士が設立する法人です。社会保険労務士法人は、当初 2 人以上の社員による設立が必須でしたが、平成 28 年1月1日から、社員が一人(一人法人)でも設立が可能となりました。
-全国社会保険労務士会連合会 HP から-

3.勤務社会保険労務士
届出を行った区域にある事業所叉は事務所に勤務し、社会保険労務士法第2条に規定する事務に従事する者です。

4.その他の社会保険労務士
上記のいずれにも該当しない社会保険労務士(社会保険労務士の登録をしている者(住所地の都道府県社会保険労務士会の会員))で、社会保険労務士事務に従事しない会社員、コンサルタント、フリーランス、専業主婦の方などがいます。

さて、彼の説明に戻ってみると「ホテル組合の先輩から紹介して頂いた労務士の先生と月次契約をしている」と言っていますし「募集や雇用に関する色々な書式を依頼しても、就労規則や雇用契約書を依頼しても、なかなか動いてくれず」とも言っています。

それはそうでしょうね。
この業務は、労務士資格ではする事の出来ない社会保険労務士の独占業務ですからね。

まぁ、この場合ですが(他の場合も同じ)、労務士資格を持つ方が社労士であるかの様に経歴などを偽って(あるいは誤認させて)契約しているのではなく、契約者が労務士と社労士を混同していて誤って契約してしまったと考えるのが穏当でしょう。

見方を労務士側に変えてみれば「自分は労務士として雇われたと考えていたけど、いざ契約してみたら社労士資格を必要とする《第一号業務》や《第二号業務》に関する業務依頼が来てしまった。今更、契約者に「これは出来ません」とは言いにくいし、かと言って違法な資格外業務を請け負う訳にも行かないし、仕方が無いから誰でもダウンロードできるネットからの資料を出しておこうか。それなら、角も立たないし、違法性も薄れるだろう。」等と考えたのかもしれません。←あくまで想像です。

でも、これでは仕事が進みませんから、平田はコンサルタントとして、ハッキリと
「この件は、労務士と社労士の違いを知らずに、間違った契約をした貴方の責任です。」
「業界の先輩から紹介されたから、資格を確かめもせずに契約するなんてダメですよ。」
「《第一号業務》や《第二号業務》に関する業務依頼がしたいのなら国家資格を持った《社会保険労務士》と契約してください。」と指導しました。

その後、このラブホテルは、「労務士を紹介して下さったホテル組合の先輩に事情を話して、社労士と《第一号業務》や《第二号業務》の契約をし、それらとは異なる《第三号業務》企業内教育、人材配置、資金調達などの人事労務管理のコンサルティングについては、弊社にご依頼をされまして、適法に労務管理を遂行する運びとなり、現在では人手不足や労使問題も発生する事無く順調に営業を継続しています。


株式会社スパイラル 平田 壯吉 代表取締役

平田 壯吉

スパイラルは、運営請負や人員派遣を行わず、ラブホテル経営相談一筋に、多数の繁盛ホテルを誕生させて参りました。
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