今まで自社所有のラブホテルを賃貸していた大家さんからのご相談

こんにちは!
ラブホテル・レジャーホテル経営の専門コンサルタント(株)スパイラルの平田です。
今日は、ラブホテルでは良く起きる「賃貸問題」についてお話します。
簡単に見える「丸貸しホテル」もやり方を誤ると問題が起きるので要注意なのです。
では、始まり、始まり~

とある、関東圏の北部に位置するラブホテルの元大家さんから、
「賃貸しをしていたラブホテルの店子から、
『契約期間が終わるから退去する』
って言われたけどどうしたら良いのか。」との相談です。

ご自宅に伺って、大家さんから詳しいお話を伺うと「10年ほど前に、それまで経営していたラブホテルの、運営を任せていた《運営請負会社》から
『家賃で借りられないか?』

と打診が有ったので、自分が何もしなくても家賃が入るなら苦労もないと考えて、賃貸契約をして大家になっていたけど、去年の暮れに「あと半年で契約期間が切れるので我々は退去します。」と通告されました。今更、また経営するのも大変だと思うのですが、どうしたら良いでしょうか?」と言うご相談でした。

この手のご相談は過去にもありましたが、そのたびに状況が違うので一律にお答えする訳には行きません。
そこで、もう少し詳しいお話を伺う事にしました。

平田:「築年数はどのくらいですか?」
大家:「うーん35年くらい前だね。」
平田:「どのような構造ですか?」
大家:「鉄骨造の二階建てで、連棟型22室だよ。」
平田:「建ててから、大規模改装とかしましたか?」
大家:「自分の経営時代は客室の意匠とかエアコンの交換などはやっていた。」
平田:「水源は何ですか?」
大家:「井水だよ。」
平田:「今の売り上げは、幾ら位ですか?」
大家:「それは知りません。」
平田:「お家賃はおいくらですか?」
大家:「1か月1室5万円で110万円です。」

との事も分かりました。

最初に「今更、また経営するのも大変だと思うのですが、どうしたら良いか?」と言われていますから、選択肢はそう広くは有りません。
多分、
① 売却する。
② 改めて賃貸人を探す。
③ 相続人に任せる。

程度でしょう。
そこで「御相続人様はいらっしゃいますか?」と聞きますと
大家:「居るには居るけど、後を継ぐ気は無いそうだ。」との事なので
となると《③相続人に任せる。》は消えます。
つまり、残った選択肢の《①売却する。》と《②改めて賃貸人を探す。》の何れかになります。

でも、今まで借りていた賃貸人が「もう借りない」と言うのですから、現状の家賃では借り手を探すのは難しいかもしれません。
また、売却すると言っても、そのラブホテルがどの様な状態なのかが解らないと売却価格も決められません。
そこで平田は大家さんに「その貸しているラブホテルの状態はどうなのですか?内部を見た事ありますか?」と聞きましたところ。「いや、貸してからは一回も行った事が無いから、外も中も分からないねぇ。」との事です。
でもこれでは、正確な判断が付きませんから「中を見ることは出来ますか?」と聞きますと、
「店子に聞かないと解らないけど、たぶん大丈夫だろう。」との事でした。
では「今の売り上げは聞けますか?」と伺いましたが、こちらは「無理だろう」との事でした。

これは平田の経験から申し上げるのですが、家賃で借りてラブホテルを経営する会社は、《いつかは返す予定のラブホテル》に投資をつぎ込むことはしません。
言い換えれば修理やメンテナンス、改装などはしないで、何とか使いまわす傾向が有ります。

平田が拝見した例では、割れた窓にガムテープで補修してあったり、壊れた雨樋が針金で止めて有ったり、共有部のエアコンが故障し止めたままであったりするケースも有りました。

さて、中古ラブホテルの売買価格の相場は、主に収益還元法で計算されます。
その計算法とは、そのラブホテルでの年間収益(税引き前利益)で総投資額(諸経費込みの購入価格)を割って、得られる数字を%に換算して、投資利回りとして評価する方法を利用して、購入者が求める投資利回りを事前に想定しておいて、そのラブホテルでの年間収益(税引き前利益)を購入者が求める投資利回りで割る事で算出します。(これはあくまでも目安としてお考え下さい。)

例:月間の1室売り上げが30万円として、15室、そのラブホテルの税引き前利益率を25%、購入者が求める投資利回りを15%として、のラブホテルの売買価格の目安を求めるとすれば、30万円×15室×12ケ月×25%÷15%で9,000万円となります。(土地・経費込みです。)

問題のこのラブホテルですが、1部屋5万円の家賃が苦しいから賃貸契約を満期終了すると仮定すると、25%の利益から家賃5万円が払いにくいと仮定して計算すると、1部屋の月間売上が家賃5万円の4倍程度の20万円程度かそれ以下と想像する事になります。

その数字を上記の収益還元法で計算しますと、20万円×20室×12ケ月×0.25÷投資家の求める投資利回りとなりますので、仮に投資家の求める投資利回りを15%と仮定すると、20万円×20室×12ケ月×0.25÷0.15=8,000万円となります。

そこで、大家さんには、
また現状のまま、新たに誰かに貸す場合は、現状の家賃(1部屋5万円)を大幅に下げる必要があるだろうし、それでも借り手が見つかる保証は無い事。
現状のままで売却するとしたら、概ね8,000万円を下回る目線となるだろうと言う事。
それが両方とも受け入れられないとすれば、少し面倒な方法を取らなければならない事。
をお伝えしました。

大家さんは、これを聞いて
「家賃を大幅に下げたら生活が困ってしまう。」
「8,000万円でしか売れないとは予想もしていなかった。」
最低でも1億5千万円では売りたいと思っている。」
とのお答えでした。

また「少し面倒な方法とはどんなことだ?」
とご質問を頂きましたので、それは、
「家賃を下げるから、もう少し借りてほしいと店子にお願いする。」
今一度、自分で経営して、売上回復に必要な処置を施して、売上を上げてから希望価格で売却する。
の二種類だと申し上げましたら「すでにそう頼んだけど『本社の決定ですから』と断られた。」との事で、そうなると・・・
残る方法は②の〔今一度、自分で経営して、売上回復に必要な処置を施して、売上を上げてから希望価格で売却する。〕しかありません。
と申し上げました。

でも、この方法を取るには【売上回復に必要な処置を施して、売上を上げる】為の資金と期間が必要です。
また、これを算出する為には、現状をつぶさに調査する必要が有ります。

大家さんは、ここで考え込んでしまい。結局、
「まだ時間が有るから良く考えるよ。」
と行動を保留されました。

平田は「調査や改善作業にも準備が必要ですから、早めに決められた方が良いですよ。」と助言しましたが、そのまま話は立ち消えとなりました。

その後2年近くたってからですが、この大家さんから
やっぱり売ることにした。
1億5千万円で売って欲しい。
と連絡が有りましたが「残念ですが、その値段では売れません」とお断りしました。

つい最近、当該地近隣のラブホテル経営者から「あのラブホテルは、社長が亡くなった後、遺族が取り壊しして更地で売ったよ。」と聞きましたが、きっとご苦労なさったことでしょう。
残念な結果でした。
株式会社スパイラル 平田 壯吉 代表取締役

平田 壯吉

スパイラルは、運営請負や人員派遣を行わず、ラブホテル経営相談一筋に、多数の繁盛ホテルを誕生させて参りました。
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